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TAKESHI SAKAMOTO






「キャラクターは仲間のような存在です」



ほのぼのとした表情と色合いが愛らしいキャラクターが、細部まで精緻に描き込まれた観光地や祭りをバックに登場する。阪本剛史(b.1988-)の作品は、ファンタジーとリアリティが混在し、風景画とも肖像画ともつかない不思議な雰囲気を醸しだす。これまでに約160種類のオリジナルキャラクターを生み出し、そのアイデアはまだ枯渇しそうにない。その創作の源泉と、彼が次に見据える景色に迫る。


The Characters Are Like Companions



Characters with heartwarming faces and colors drawn in detail appear in front of various tourist spots or in festivals. The artwork of Takeshi Sakamoto (b.1988-) creates a mysterious atmosphere in which fantasy and reality are mixed—they seem to be neither landscape nor portrait paintings. He has created about 160 original characters so far, and his ideas for them have yet to run out. We asked him about the scenery he looks at and the source of his creations.

Artwork

フランス ヴェルサイユ宮殿
2021 色鉛筆/紙 500×606 mm
The Palace of Versailles, France
2021 colored pencil on paper 19.6×23.8 inch


ブラジル リオデジャネイロの街並みと新体操
2019 鉛筆、色鉛筆、アクリル絵の具/紙 600×599 mm
Cityscape of Rio de Janeiro, Brazil, and Rhythmic Gymnastics
2019 pencil and colored pencil and acrylic on paper 23.6×23.6 inch


阿波踊り
2018 鉛筆、色鉛筆/紙 594×841 mm
Awa Odori Dance
2018 pencil and colored pencil on paper 23.3×33.1 inch


阪本の作品にはいくつかのシリーズがあり、現在は「お祭りシリーズ」「世界遺産シリーズ」「遊園地シリーズ」など、さまざまなシーンにオリジナルのキャラクターたちが登場する。はじめに、食べものと生きものを組み合わせたキャラクターをいくつもつくり、ストックしておく。その後、日本各地の祭りや世界遺産の建造物といったシーンを設定し、その中にキャラクターを配置する。祭りの神輿や宮殿の天井画などは写真集やインターネットで細部まで調べて描くが、そこに空想のキャラクターが登場することで、現実とファンタジーの境界が曖昧になる。
There are several series in Sakamoto's artwork, and now his original characters appear in various scenes, such as “festival series,” “world heritage series,” and “amusement park series.” First, he creates and stores a number of characters that combine food and creatures. After that, he plans where each scene, such as Japanese festivals and world heritage buildings, is set and places characters in them. He draws Festival mikoshi and the ceiling paintings of churches by examining the details in photo books or from the Internet. He draws his fantasy characters into scenes that blur the boundary between reality and fantasy.


Sakamoto goes to the Atelier Incurve every day and engages in repeated trial and error to draw in detail. The size of his artworks is getting bigger every year, but each character and building is drawn in detail such that it is inversely proportional to the magnitude of the works. At Art Fair Tokyo 2022, we will exhibit his artwork, including many new pieces. Some of artworks on this page are available. If you are interested in, please contact us at info@g-incurve.jp.

Interview

聞き手:ギャラリー インカーブ| 京都 スタッフ
2022年3月|アトリエ インカーブにて

Contents


キャラクターが生まれる背景

幼い頃から、祖父が陶芸する姿を見ていた阪本は、美術系高校から専門学校へ進学。5年間、陶芸を学んだ。
その後、絵画にも興味が広がり、卒業後はアトリエ インカーブ(以下インカーブ)で制作を開始。現在は平面作品を中心に制作している。
「アイスクリームと犬」「くだものと動物」など、食べものと生きものを組み合わせる現在のようなキャラクターは、どのようにして生まれたのだろうか。

スタッフ(以下 太字):現在のようなキャラクターが生まれたのはいつ頃でしょうか。

------ 阪本(以下細字):はっきりとは覚えていないのですが、高校時代の陶芸で作ったことがきっかけだと思います。これはインカーブで制作を始めた頃にも描いた、初期のキャラクターです。

タイトルなし
2009 ペン、アクリル絵具/紙 393×545 mm
Untitled
2009 pen and acrylic on paper 15.4×21.4 inch


高校時代の陶芸作品



インカーブで制作を始めてから、阪本さんオリジナルのキャラクターを考案されていますね。

------ 小さい頃、家にぬいぐるみがたくさんあって、この子とこの子は家族、あの子は友だち、など自分で設定しながらよく遊んでいたんです。インカーブで絵を描くようになって、自分でキャラクターを作ってみようと思って、考えるようになりました。


アイスクリームの顔をした犬や、くだものの色になった動物など、阪本さんのオリジナルキャラクターは、どんな発想で生まれてくるのでしょうか。

------ まず最初は「生きもの」を決めます。その後にどんな「食べもの」を組み合わせたらおもしろいのか、頭の中で考えます。それぞれ種類の多い方が、バリエーションが増えるので楽しいです。途中で生まれ変わるキャラクターもいます。


キャラクターが生まれ変わるんですか?

------ はい。例えば「パッションフルーツ ユニコーン」は途中で「パッションフルーツ カウ」に生まれ変わりました。


それは、どうして?

------ 途中で、以前に描いたものを見返したりすると、変えたくなることがあります。前はユニコーンで描いたけど、カウ(牛)で描いてみたらどんな感じかな、とか。表情や描きやすさを思い出しながら、違うシリーズでも描いてみようかなと思う時があるんです。


  • Slider Image

    パッションフルーツ ユニコーン / Passion Fruit Unicorn
    2012


  • Slider Image

    パッションフルーツ カウ / Passion Fruit Cow
    2013




キャラクターは阪本のオリジナルだが、描く前にモチーフとなる生きものや食べものの詳細を入念に調べる。これまでに誕生したキャラクターは160体を超える。手元のノートには、これまで描いたキャラクターの名前とそれに使用した画材(メーカーと色、品番など)がびっしりとメモされている。また、色鉛筆は微妙な色の違いを追い求めるうちに600本以上になり、それぞれの芯の柔らかさや尖らせ方、描く紙との相性に至るまで細やかに調整している。その姿はさながら研究者のようでもある。




仲間のような存在

約3ケ月の制作期間を経て、お祭りシリーズの新作が完成した。アートフェア東京2022に出品する「山王祭り」について聞いた。

山王祭り
2021 鉛筆、色鉛筆/紙 860×1780 mm
Sanno Matsuri Festival
2021 pencil and colored pencil on paper 33.8×70 inch


今回もたくさんのキャラクターが登場していますね。160体ほどある中から、毎回どのような基準で選んでいるのですか。

------ いつも、できるだけ多くのキャラクターたちを登場させたいと思っています。どの子を登場させるかは、前もって決めている時もあれば、描いている途中で登場させようと決めることもあります。お祭りや世界遺産、観光地の参考資料を見ていて、そこに写っている人の顔が「あの子に似ているなー」と思って登場させたり、シーンの雰囲気に合いそうだなとか、隣同士にしてあげた方がよさそうだなと思う子たちは、組み合わせを考えて選んでいます。


作品に度々登場するキャラクターもいますよね。例えばこの子とか。

------ そうですね。パイナップルベア。この子はお気に入りでよく登場します。ちょっと恥ずかしがり屋です。

山王祭りに登場するパイナップルベア


キャラクターには性格設定もあるんですね。

------ はい。描いているうちに、この子はこんな性格だなとか、だんだんとわかってきます。
目などの表情を描いているときにわかることが多いです。
たまに、出来上がってから、この子はこんな性格だったのかと自分でも驚くことがあります。


作品の中でキャラクター同士、話していたりするでしょうか。

------ 同じシリーズだったり、仲のいいキャラクターたちは話しているかもしれませんね。

キャラクターはさまざまな場面に登場しますね。全国各地のお祭りや世界の観光名所や世界遺産の前に出てくるのですが、それはなぜでしょうか。どうやってそのシーンを決めているのですか。

------ 自分が気になっていたり、描いてみたいなと思った場所やお祭りを選んでいます。「世界遺産シリーズ」は家族とオーストリアに旅行に行った経験から広がっていきました。シーンを決めたら、その場所やお祭りについて細かく調べて資料を集め、それにあうキャラクターたちを(ストックしている中から)選んで描いていきます。


阪本さんにとってキャラクターはどんな存在ですか。

------ 仲間みたいな存在です。描いていると、作品の中に登場するキャラクターと見つめ合っている感じもします。

小説家が筆を進めるうちに、自分の想像を超えて登場人物がそれぞれに動き出し、物語が紡がれていく、と聞いたことがある。阪本がキャラクターたちと会話しているかのように作品を描くのは、それに近いような感覚もあるのだろうか。

世界が動き始める

ここ数年、作品の中である変化が生まれている。
これまで真正面を向いていたキャラクターたちが、斜めや後ろを向いたり、和楽器を使ったり、少しずつ動きがついてきたのだ。
建造物の描写も変化している。外観だけでなく庭園や内部の装飾、壁画を並べ、それを舞台にキャラクターたちが踊り、演奏する。
微細な部分をより正確に、シーンはより広い世界へ。阪本は今後どのような世界観を展開させるのだろう。

ここ1、2年の作品に登場するキャラクターは、以前に比べて動きがあるように感じます。それは意図的につけているのでしょうか。

------ そうですね。この作品(「山王祭り」)でも顔の向きを初めて斜めにしてみました。

「山王祭り」の一部





最近はキャラクターをぬいぐるみのように立体にしてみることもされていますよね。

------ はい。キャラクラーが横を向いたらどんな風に見えるかなと思って、ぬいぐるみを作りました。
頭の中では想像したりしますが、キャラクターを立体的に描くために試しにつくってみたんです。




研究熱心ですね。今後はどんな作品を描いていきたいですか。

------ もっと大きな画面に描いてみたいです。あとはキャラクターたちを登場させたストーリーのようなものをつくってみたいなとも思っています。


何作か集まって、絵本や紙芝居のような物語になるのでしょうか。

------ そうですね。ストーリーがなんとなく頭の中にあります。僕自身もどんなふうになるのか楽しみにしています。





使った画材を詳細に記録したノート、調べた資料をテーマごとにまとめたファイル、色と描き心地にこだわった600本以上の色鉛筆。阪本が毎日通うインカーブには、精緻な描写を求め、試行錯誤を繰り返してきた痕跡がつまっている。画面は年々大きくなっているが、それと反比例するように一つ一つのキャラクターや建物は微細に描きこまれている。リアルとファンタジーが混在しながら、これからどんな物語が立ち上がってくるのか。その世界への扉が開かれる時が、今から待ち遠しい。

Biography

阪本 剛史

1988年生まれ。世界遺産や日本の祭りなど、さまざまなシーンにオリジナルのキャラクターたちが登場する。細部まで精緻に描きこまれた風景に、ほのぼのとした表情の愛らしいキャラクターが登場することで、現実とファンタジーの境界が曖昧になる。毎年のように国内外のアートフェアに出品し、日本だけでなく、海外の数多くのコレクターも魅了している。

主な展覧会 ・ アートフェア

アートフェア東京(2017, 2015 - 2013)、art on paper(ニューヨーク・2017)、 SCOPE NEW YORK(2015)、hiromiyoshii roppongi FARM(東京・2014)、 ART OSAKA(2014)、伊勢丹新宿(東京・2013)、NEW CITY ART FAIR(大阪・2013)、 銀座三越ギャラリー(東京・2012)、SELFRIDGES(ロンドン・2011)、(marunouchi)HOUSE(東京・2010)

Takeshi Sakamoto

Born in 1988, Takeshi Sakamoto draws his original characters in various scenes, such as world heritage and Japanese festivals. Characters with heartwarming faces appear into scenes drawn in detail, it blurs the boundary between reality and fantasy. His artwork exhibits at international art fairs almost every years. They attract a lot of collectors not only in Japan but also abroad.

Exhibitions・Art Fairs

ART FAIR TOKYO(2017, 2015-2013),art on paper(NewYork, 2017), SCOPE NEW YORK(2015), hiromiyoshii roppongi FARM(Tokyo, 2014), ART OSAKA(2014), Isetan Shinjuku Art Gallery(Tokyo, 2013), NEW CITY ART FAIR(Osaka, 2013), Ginza Mitsukoshi Art Gasllery(Tokyo, 2012), Selfridges(London, 2011), (marunouchi)HOUSE(Tokyo, 2010)





OIL

オンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」にて阪本剛史の作品をご購入いただけます

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