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TOMOYUKI SHINKI



「誰かが僕の作品で、元気になってくれたらうれしい」



日本国内だけでなくニューヨークやロンドンなど海外でも多数の展覧会を行い、「東京2020オリンピック ・ パラリンピック公式アートポスター」 のアーティストの一人にも選出された新木友行(b.1982-)。プロレスをはじめとする格闘技を描くことに、20年近くの間、情熱を傾けてきた。闘う人を描き続ける原動力と、作品に込める想いを聞いた。



I’m Happy If My Art Cheers Up People



Tomoyuki Shinki (b.1982-) has exhibited his artwork in Japan and abroad, including in New York and London, and was selected as one of the Tokyo 2020 Olympics and Paralympics Official Art Poster Artists. For nearly 20 years, he has been passionate about drawing martial arts like professional wrestling. We interviewed him about his motivation to continue drawing fighters and vision he put into his works.

Artwork

フライングラリアット
2021 ペン、色鉛筆/キャンバス 1455×2273 mm
Flying Clothesline
2021 pen and colored pencil on canvas 57.2×89.4 inch


カウンターパンチ
2021 ペン、色鉛筆/紙 297×420 mm
Counter Punch
2021 pen and colored pencil on paper 11.7×16.5 inch


ローリング ソバット
2022 ペン、色鉛筆/紙 297×420 mm
Rolling Savate
2022 pen and colored pencil on paper 11.7×16.5 inch


黒の繊細なラインが、無骨なファイターたちの隆々とした筋肉の動きと体のもつれを的確にとらえる。近年その対象はファイターたちにとどまらず、陸上や水泳、車椅子バスケットボールなど様々なアスリートにまで広がり、デフォルメされた彼らの動きは躍動感が溢れている。
Tomoyuki Shinki is an avid fan of martial arts. His black lines accurately depict the intertwined muscular bodies of wrestlers. In recent years, his interests in drawing have spread not only to fighters but also to various athletes who participate in track and field, swimming, and wheelchair basketball. Their movements are full of dynamism.


Shinki says he gets energy and power from the appearance of fighters and athletes who are serious about their games. He hopes to cheer people up through his work on which he has supported his life. At Art Fair Tokyo 2022, we will exhibit many new works including a large one in M150 size. Some of artworks on this page are available. If you are interested in, please contact us at info@g-incurve.jp.

Interview

聞き手:ギャラリー インカーブ| 京都 スタッフ
2022年2月|アトリエ インカーブにて

Contents


格闘技を、観て、感じて、描く

今年のアートフェア東京2022に出品する、メインの作品が完成した。
M150号という大型サイズのキャンバスには、長年愛してやまない「プロレス」が描かれている。



スタッフ(以下 太字):昨年のアートフェア東京に続き、今回も大型の作品が完成しましたね。

---- 新木(以下細字):うん、いい感じ。かっこよくできた。
全体的に色のバランスがうまくいったし、右の選手の「痛いー!」って表情もいい感じ。


これまで格闘技を中心にいろんなファイターやアスリートを描いてこられましたね。

---- プロレス、ボクシング、テコンドー、少林寺とか、格闘技全般が好きで、いっぱい描いてきました。
パラアスリートも。特にプロレスは、描いていて一番楽しい。他の格闘技に比べて技もいろいろあるし、スピード感や動きがある。


格闘技のどこに魅力を感じているのでしょうか。

---- 闘う人がぶつかり合う瞬間。技が決まった瞬間の音とか、汗が飛び散るところも。
「がんばれー!」とか「痛そう!」とか(笑)、観ていて気持ちが熱くなります。エネルギーやパワーをもらえる感じがする。


そもそも格闘技を描こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

---- 高校時代の先生がプロレスの試合に連れていってくれたことがきっかけ。
初めて生でプロレスをみて感動したなぁ。


自分もレスラーになりたいとか思いますか。

---- ははは、それはないわぁ。リスペクトに近いです。
僕は、闘う人がぶつかり合う瞬間を絵にしたい。その瞬間の自分の気持ちを描いています。


気持ち、ですか。

---- ぶつかり合う瞬間を見たときの僕の気持ちを、言葉ではなく作品で表現したい。
気持ちは作品を観る人にも伝わると思うから。


新木がプロレス観戦に出かけると言うので同行させてもらった。会場では、鍛え上げられた肉体が激しくぶつかりあう音に、唸り声が重なる。試合のすべてを真剣な眼差しで見つめ、時折席から立ち上がって身振り手振りで応援する姿は、観客というよりもセコンドのようだ。試合が終わり、興奮と余韻が残る中、「次はこんな感じで描きたいな」と、早くも次作を構想していた。




僕の色で元気になってほしい

今は主に色鉛筆で制作をされていますが、初めの頃はパソコンで描いていましたよね。

---- そうですね。当時はアトリエにiMacがあって、それで描いてみようと。

ジャーマン・スープレックス
2004 コンピュータ・グラフィック 限定25 297×420 mm
German Suplex
2004 digitally generated on a computer ed.25 11.7×16.5 inch


パソコンから色鉛筆に変わっていったのは、どうしてですか。

---- パソコンは印刷された色がイメージと違ったから。自分がいいと思う色がそのまま出せる色鉛筆の方がいい。色については特に意識します。
もともと明るい色が好きだけど、特に今は、よりカラフルな色を使うようにしています。
(2020年から続くコロナ禍で)落ち込んだり、元気がなくなってしまったひとが、僕の作品をみて元気になってくれたらいいなと思うから。


作品を通して誰かを応援しているんですね。色はどうやって決めているのですか。

---- はじめから決めているわけではなく、描く直前で決めています。色を塗りながら、次の色はどうしようかなぁって。
赤やピンク、黄色は、元気が出る色なのでよく使います。













初期の作品では、ファイターの身体に細かな筋肉の筋や汗が描き込まれ、背景にはリングロープやレフリー、観客など、試合会場全体が描かれていた。画面の密度は次第に削ぎ落とされ、今では選手だけが描かれている。豊かな余白に、洗練されたラインと色で彩られたファイターが浮かび上がる。 新木は毎日午前中からアトリエに通い、夕方まで制作する。大型の作品だと完成までに2か月。リングでスポットライトを浴びるファイターが、日々鍛錬を重ねているように、新木は誰かを想う気持ちを色鉛筆にのせ、今日もコツコツ塗り進める。

アーティストの自覚

これまで500点以上の作品を描き、日本国内だけでなく海外でも展覧会が開催されています。

---- 作品を通して新しい人と出会えるのはうれしいです。
作品を観たひとに自分の気持ちが伝わったように感じたときは、絵を描いてきてよかったなぁと思います。



新木さんは自分で「アーティストの自覚」のようなものはあるのでしょうか。あるとしたら、いつ頃から感じていますか。

---- うーん、ポスター(東京2020オリンピック・パラリンピック公式アートポスター)作品を描いた頃からかな。周りの反応がこれまでと全然違った。
今まで知り合いや友だちに、僕が絵を描いていると、ほとんど言ってなかった。だけど、これがきっかけで、アーティストとしての自分を知ってくれるようになったのは、うれしかったなぁ。

東京2020公式アートポスター



たしかにそれ以降、アーティストとしての使命感のようなものを感じます。

---- 実際に絵を観た方から、「元気がでました」と言われることが増えました。
最近は悲しいニュースも多いし、落ち込んだり、元気がなくなってしまった時に、僕の作品を思い出して元気になってくれたらと、前よりももっと思うようになりました。


新木さん自身、これまでファイターやアスリートの姿からも元気やパワーをもらえると言っていましたよね。

---- はい。職業は違うけど、僕の場合は作品を通して、そういうことができたらなぁと思います。



最近は活動の幅も広がっていますよね。2016年から小学校でワークショップの講師もしています。作品発表だけでなく、そのような活動についてはどう感じていますか。

---- こういう活動はうれしい。
こどもたちに直接メーセージを伝えることができるし、反応も分かるので。
自由に表現することの楽しさを伝えられたらいいなと思います。




小学校でワークショップをする様子


新木さんが登壇してお話をされると、会場がいつの間にか和やかな雰囲気になります。こどもたちに囲まれている姿を見ていると、すごいなぁといつも感心してしまいます。

---- ははは、僕も楽しいです!
こどもたちには、好きなことを諦めないで、頑張ったらできるってことも伝えられたらいいなぁ。
でも1人では難しいから、家族や周囲の人に協力してもらうことも大切なんだと思います。

アーティストとして、今後どのような活動を行っていきたいですか。

---- これからもたくさん絵を描いて、いろんな会場で個展をしたいです。ライブアートもやりたいな。
日本中、世界中の人に作品を知ってもらえたらうれしいです。

最後に、新木さんにとって作品はどんな存在ですか。

---- 僕自身、自分の作品から元気をもらっています。その結果、次の新しい作品に対してパワーを込められる。
作品は、自分の生活を支えてくれる存在です。





これまで20年近く、新木は格闘技を描いてきた。試合会場にも足繁く通い、真剣に試合に臨むファイターやアスリートの姿から元気やパワーをもらってきたという。そして今、自分自身の生活を支えてくれる作品を通して、誰かを元気にしたいと思うようになった。長引くコロナ禍で停滞する空気が続くなか、人々が落ち込んでいることを敏感に感じ取ってもいるだろう。次代を担うこどもたちにも、自分がアートで自由と勇気を手にしたのと同じように、好きなことを見つけてほしいと願っている。今回のインタビューでは、新木の、アーティストとしての自覚と使命感を見せてもらった。

Biography

新木 友行

1982年生まれ。黒の繊細なラインが、無骨なファイターたちの隆々とした筋肉の動きと体のもつれを的確にとらえる。近年その対象はファイターたちにとどまらず、陸上や水泳、車椅子バスケットボールなど様々なアスリートにまで広がり、デフォルメされたその動きは躍動感が溢れる。「東京2020 オリンピック・パラリンピック公式アートポスター」のアーティストの一人に選ばれるなど国際的な評価を得ている。

主な展覧会 ・ アートフェア

アートフェア東京(2021, 2019, 2018, 2014, 2013)、ART@DAIMARU プレミアムアートコレクション(京都・2021)、東京2020公式アートポスター展(東京・2020)、STRAYM アートエキシビジョン(東京・2020)、 TRUNK(HOTEL)(東京・2020, 2018)、The Gallery of Everything(ロンドン・2018)、The Royal Academy of Arts(ロンドン・2018)、art on paper(ニューヨーク・2017)、SCOPE NEW YORK(2015)、artgeneve(スイス・2014)、東京オペラシティ アートギャラリー(2012)、浜松市美術館(静岡・2010)、高梁市成羽美術館(岡山・2009)、サントリーミュージアム[天保山](大阪・2008)

Tomoyuki Shinki

Born in 1982, Tomoyuki Shinki is an avid fan of combat sports. The black lines accurately depict the intertwined, muscular bodies of wrestlers. In recent years, his interests in drawing have spread not only to fighters but also to various athletes who participate in track and field, swimming, and wheelchair basketball. Their movements are full of dynamism. He has been selected as one of the Tokyo 2020 Olympics and Paralympics Official Art Poster Artists, and has gained international acclaim.

Exhibitions・Art Fairs

ART FAIR TOKYO(2021, 2019, 2018, 2014, 2013), ART@DAIMARU Premium Art Collection(Kyoto, 2021), Tokyo 2020 Official Art Posters Exhibition(Tokyo, 2020), STRAYM Art Exhibitions (Tokyo, 2020), TRUNK(HOTEL)(Tokyo, 2020, 2018), The Gallery of Everything(London, 2018), The Royal Academy of Arts(London, 2018), art on paper(New York, 2017), SCOPE NEW YORK(2015), artgeneve(Swiss, 2014), Tokyo Opera City Art Gallery(2012), Hamamatsu Municipal Museum of Art(Shizuoka, 2010), Nariwa Museum(Okayama, 2009), Suntory Museum(Osaka, 2008)





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